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"ゆとり"ありますか?

この記事はaratana Advent Calendar 2017 - Qiita 8日目の記事です。

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aratana advent calendar 2017


こんばんは。夜の西都原古墳群。きめさわです。

突然ですが、みなさん、"ゆとり"ありますか?
今日はアドベントカレンダー登録しすぎてゆとりがない僕が、「ゆとり」ということをテーマにしてみようかと思います。

ちなみに「Slack」というツール、多くの企業で使っているかと思いますが、Slackを訳すと「ゆとり」という意味になるんです。
このツールに込められた思いが何となく伝わる気がしますよね。

生産性最下位の日本

http://www.jpc-net.jp/intl_comparison/intl_comparison_2016_data.pdf

この資料は、日本生産本部による、OECD加盟国のGDPと一人あたり生産性の順位です。
28ページ以降を見ていただくと、日本は1人あたりの生産性がほぼ最下位です。それが、1970年代からずーーーと続いています。

それは、ざっくり言えば、人員大量投入による生産の仕方を日本は得意としていたからですね。
人口増と日本人の勤勉な性格も手伝ってこうなっていったんでしょうね。

しかし、未来に目を向ければ、日本は人口が減っていく時代が予想され、実際そうなっていっています。
これまでのような、人員大量投入による生産などできないことが予想されますね。

どうしたら生産性があがるか?
一人当たりの生産性はどうあげられるか?これが課題になっていくと思います。

先日、Googleに関する記事でちょっとした話題になったものがありました。
グーグル社員が「労働時間」を問われない理由 —— 「時間で管理は愚かな考え方」だ

1日8時間のなかで、人間がフロー状態にあるのはたったの30分。時間を管理するのをやめれば、1日24時間で90分という3倍の生産性が取れるという記事です。

SNSでは、グーグルだからでしょと揶揄する声も大きかったですが、記事をちゃんと読めば、日本の会社の例も挙げれられており、
特別な会社だからというわけではなく、自分の健康・エネルギー・時間というかぎられたリソースを最適化するための工夫が生産性を上げるんだということを説明しています。

アラタナでは、フレックスやコアタイムの制度などの取り組みを始めました。
こういった制度も同じく、ゆとりを持ち、生産性を上げるために必要な制度だと思いました。

ゆとりの法則

トム・デマルコの「ゆとりの法則」という本があります。

この本にはゆとりがなく、忙しく働きすぎる場合なにが起こるかが詳しく説明されています。

いくつか例を挙げてみましょう。

忙しいと生産性が下がる

全員が忙しく働いている場合、新しい仕事が入る隙間がなくなるわけで、しかもそれが組織で行う仕事だと、仕事が次の人に移動するのに次の人の時間が空くまで待たなければならず、結果、全体として時間がかかりすぎるということになるわけです。

各自ある程度のゆとりがあって、来た仕事にすぐとりかかることができて始めて生産性があがるということですね。

多くの仕事を抱えるとロスが増える

また、各人がそれぞれ多数の仕事を持っていた場合、さらに新しい仕事がくることで、「仕事の切り替えに伴うロス」が加算されます。

急げ急げは遅くなる

急げと急かされることってよくありますが、組織で仕事をする場合、これは逆に遅くなります。

急がなくてはならないほど仕事を組織が抱えているとはいえ、仕事の量というのは変動しているのが普通です。
そうした場合何が起こるかというと、仕事が増える人と減る人が出てきます。
すると、たまたま減った人はどうするかというと、世界は急げ急げの状態ですから、サボっていると思われないように、今の仕事を長くゆっくり行うようになります。

こうして、全体の速度が落ち、結果生産性が落ちます。

1円の節約は1円の利益にはならない

これは、ゆとりをなくした結果、研究開発などができなくなったケース。
研究開発分の節約が達成されたかもしれないが、将来の利益が削れられることとなる。

研究開発は投資です。なので、将来の継続的な利益は現在のコストをはるかに上回るのが普通です。

このケースは研究開発にとどまらず、個人の学習の時間、勉強会への参加、もちろんこのようにブログを書くことも含まれます。
それから、新人への研修や資格支援なんかもそうですよね。

また、アラタナでは副業を認める制度ができました。これも一種のゆとりから将来への投資をするための制度なんだと思っています。

また、新しい技術やプロセスへの挑戦や、それが失敗したとしても、そこから得られるものがあるという余裕も投資対象となるでしょう。

プレッシャーや恐怖を増やしても生産性は落ちる

人間は時間的なプレッシャーをかけても早くは考えられない。というのはティムリスターの言葉。

プレッシャーをかけ、恐怖を増やしても、人は速くはならない。
かといって、残業を増やし、時間を増やしても、生産性は落ちる。
ストレスの蔓延した組織は、じきに重要な人材が士気を失い、燃え尽き、去っていく。

経験ありませんか?

解決策はある

ゆとりの法則では、他にも多くの例が示されているので、ぜひ読んでみて下さい。

最近のアジャイルプロセスでは、ゆとりを仕組み的に取り入れることで生産性を上げようとしています。
たとえば、多くの仕事を抱える問題では、「カンバン」というしくみで解決します。

組織のメンバーは必ず、1つのしごとを終わらせるまで他のことは溜めておきます。
これで効率性があがるだけでなく、溜まり具合を計測することで、ボトルネックを突き止めることも可能です。

急げ急げ問題では、あらかじめ「急ぐ代わり」を定義しておきます。
急ぐ代わりに「機能を減らす」。急ぐ代わりに「品質を落とす」。急ぐ代わりに「お金を増やす」(先2つに比べて効率は落ちます)。そもそも急がない。
こういったトレードオフをプロダクトの性質によって決めておくことで効率低下を防ぐことができます。

また、一定期間ごとにその期間を振り返る時間を設ける「余裕」、そして振り返ったあとにプロセスを「改善」する時間・余裕をもつことも定義されていますね。

プレッシャーや恐怖問題に対しては、「スクラムマスター」という役割を置いて、開発メンバーを守ります。
外部のプレッシャーから守りいまやる仕事に集中させることも「スクラムマスター」の仕事です。

最近のプロジェクトに対するプロセスのプラクティスはこういうことも考えられて提案されています。

アラタナでもなんとかアジャイルの取り組みを継続して「ゆとり」をもって生産性を上げていきたいですね。

最後になりますが、この本の英題。「Slack」っていうんですよ。
ゆとり、大事ですね。

明日のアラタナアドベントカレンダーは同い年、同じ山部のダンディJotarO_Oyanagiさんによる「イメージで伝える「Vue.js とは」 〜コンポーネントとデータバインド〜」です。フロントエンド系の話題は初ですかね。うちのフロントエンドチームは凄いですよ!お楽しみに!